2013年01月13日(日) 御頭神事(箕曲中松原神社) (車、徒歩)
午前中の 御頭神事 日程調査のための神社巡り にて、本日執り行われることを知った箕曲松原神社(伊勢市岩渕)の御頭神事。
【参考】
- 箕曲中松原神社 (神宮巡々)
一度帰宅し、早々に昼食をとってから宇治山田駅前にある箕曲松原神社まで【キタヰの妻】に車で送ってもらったが、八間道路は渋滞していた。伊勢市観光文化会館で行われた成人式の影響だろう。
時間に余裕はあったが車の中で待つのはあまり好きではないので、途中で車を降りた。
成人式を終えた若者で溢れ返る観文前、人の間を縫うように進み箕曲中松原神社に到着した。予定通り12時半に到着。
獅子舞の舞巡スケジュールをパチリ。今日は最初から最後まで追いかけてみようと思った。
手水舎で手水を受け、心身を清め
すでに御頭神事の準備が整った
拝殿へ向かい、お参り。
午前の訪問に続き、改めて御頭を望んだ。(一日、よろしくお願いします。)
定刻になると宮司が現れ、拝殿へ。
続いて、神楽師(舞手、奏者)も・・・。
宮司が大幣の前へ、
先ほどの太鼓が打ち鳴らされた。御頭神事の始まりだ。
最初に御頭が祓われ、続いて神楽師が祓われた。
お祓いを終えると御頭が動き出した。
御頭が社頭で一拝すると、「さぁ、舞いが始まる!」と思いきや
一行は社頭を離れ、
境内の隅にある池(水鏡御拝所)へ向かった。どのような動作かは見えなかったが・・・
帰宅後に、「伊勢市史第8巻-民俗編」を調べたところ、御頭神事について、さらには箕曲中松原神社での御頭神事、この水鏡御拝所での水鏡行事について解説されていた。
「伊勢市史第8巻-民俗編」
pp.368-420 伊勢市内の御頭神事について( pp.373-375 箕曲中松原神社での御頭神事について )
いつもながら行動優先で知識が後追いの自分自身、反省の繰り返しだ。
この民俗編、私にとっては宝の山だからじっくり読んでみよう。
御頭神事に関する解説は伊勢市史等の資料に譲る(時間があれば要約等を掲載したが今は・・・)として、ここでは記録として主に写真を掲載する。
水鏡行事を終えた御頭は社頭へ戻り、
舞いが開始された。
社頭では「七段おこしの舞」が舞われた。
この後、各氏子域(岩渕町連合・岡本町・尾上町・勢田町)の各拠点で獅子舞が行われるが、「七段おこしの舞」が舞われるのは社頭と最後に巡り神事が斎行される勢田町内会 会所前の二ヶ所だけだけで、途中の拠点では七段の中から2~3段を舞うそうだ。「七段おこしの舞」全体をご覧になりたければ、箕曲中松原神社の社頭か、勢田町内会 会所へ。
社頭での舞いが終了すると御頭の前に列ができた。御頭に頭を噛んでもらうためだ。
御塩で頭を清めてもらってから、ガブリと・・・。
社頭での一連の行事が終了すると御頭は氏子域の各拠点を巡る。
まずは、箕曲中松原神社から伊勢商工会議所方向へ一方通行路を進み、交差点の先の路地を右へ曲がったところ。住宅街の駐車場だ。
【岩渕1丁目 宮崎さん前駐車場】
振り返って伊勢商工会議所の建物をパチリ。こんな所だ。
民家のフェンスに案内の貼り紙。
太鼓の音で近隣住民が集まってきた。しかし、そんなに多くない。住宅街だから住民は多いはずだがみんな興味がないのだろうか? それともあることを知らない?
そんな状況でも御頭はしっかりと舞われ、最後に拝観者の頭を噛んだ。
私はそんな様子を最後まで見ているわけにはいかなかった。
宮司、氏子総代、神楽師衆は車での移動、しかし私は徒歩。次の拠点へ急がなくては。お楽しみの風景を背にして勢田川沿いにある岡本公園へ向かった。
【岡本公園】
休日の公園、子供も少ない。
しかし、太鼓が鳴らされ、獅子舞の時刻が近づいてくると人が集まり始めた。
獅子舞が始まると滑り台の上からパチリ、パチリ。
全体ではこんな感じ。広い公園なので周囲に人垣ができる光景を想像してしまった。
舞いは着実に進み、
舞いが終わると、パクリ。
「噛む」というより「食っている」感じだった。「噛き」でもかなり盛り上がっていた。
ここでも、そんな風景を後にして
次の拠点、小田橋・橋詰公園へ向かった。
勢田川の左岸を下れば
小田橋(おだのはし)に到着するので
橋を渡ればその先が橋詰公園。
【小田橋・橋詰公園】
すでに太鼓は到着し、拝観者も集まっていた。
観光案内板の裏側に御頭神事の案内が貼られていた。
地元の方が準備された、お茶で休憩の後、しばらくすると獅子舞が開始された。
こちらでも獅子舞の後に、「噛み」。
またもや、急ぎ足で古市街道を進み、次の拠点である間の山(坂)の下へ向かった。
【旭印刷所横】
旭印刷所の入口のガラス戸に御頭神事の案内が貼られていた。
準備が整うと舞われた。ここは拝観者が2~3人、かなり寂しい。せっかくの機会、「一目見ればワクワクするのにな~?」
拝観者が少ない状況でも獅子舞は変わりなく舞われた。
最後に「噛み」。
ここから次の拠点までは少し距離があった。先ほどの小田橋まで戻り、勢田川の下流側に架かる簀子橋を渡る。さらに御幸道路を横断し、その先が少し複雑。住宅街にある鈴木小児科クリニックの前だ。
【鈴木小児科クリニック前】
御頭が準備され、太鼓が鳴らされてもあまり人が集まらなかったので、定刻前にして獅子舞が開始された。まあ、舞巡時間はあくまでも予定なので当然のことだ。
クリニックの塀と入口の扉に案内が貼られていた。
ここでもしっかりと舞われ、
舞いが終わるとなんとか集まった数名の拝観者が頭を噛んでもらった。
次の拠点へ向かおうと住宅街を歩いていると、おばさんが「獅子舞は終わったの?」と問いかけてきたので「はい、でもみんな噛んでもらっていますよ!」と返したがそのおばさんは自宅へ引き返してしまった。 その時刻は確か3時5分頃、鈴木小児科クリニック前への御頭の到着予定時刻。せっかくの拝観者を逃してしまったか。(残念)
そのおばさんを背に私は次の拠点へと超急いだ。実はここから次の拠点(勢田町内会会所)までの距離がもっとも長~い。ただ、まだ30分あるので心配はないのだが・・・。
小田橋まで戻ると
勢田川に遡上した。
また、勢田川の遡上については以前に面白い企画を実行しているので、ご参考に
【参考】
勢田町内会会所は「蓮台寺柿発祥の地」の碑が建っている場所だと教えてもらったので場所を探す必要はなかった。勢田川沿いの風景を楽しみながらも黙々と歩き続けると到着。
ここが、 勢田町内会会所。
【勢田町内会会所】
ここは「勢田農家組合」でもあるのだ。
入口付近の掲示板に御頭神事の案内が貼られていた。
また、建物前のスペースに配置された案の上には御頭が据えられていた。祭典の準備だ。
祭典が始まるまで周囲を散策。建物の隣には「蓮台寺柿発祥の地」の碑が建ち、
ここからは御木本道路と交差する伊勢自動車道が見える。その右方向は伊勢西ICだ。
太鼓の音が聞こえてきた、誰が打ち手かと思えば子供たちだ。
祭典の準備が整うと
宮司による祓詞の後、御頭、氏子総代、神楽師衆、参列者が修祓を受けた。
そして祝詞奏上の後、玉串奉奠。
祭典が終了すると、御頭が動き始めた。
御頭が祭壇に正対し、「七段おこしの舞」が始まった。
隣にある土産物店へ立ち寄った観光客も興味深そうに見入っていた。
舞いが終わるとここでも御頭による「噛み」。
この場所では祭典が斎行されるし、町内会の働きかけもありかなりの人出だった。
この後は最後の舞い(剣の舞い)が箕曲中松原神社の社頭で舞われるので
賑やかで楽しそうな雰囲気を背にしながら箕曲中松原神社へ戻った。
箕曲中松原神社へは予想よりも早く着いたので、定刻の5時まで境内を散策していた。
こちらが境内の隅にあり、先の水鏡行事が執り行われた池、水鏡御拝所だ。
定刻になると御頭が戻ってきた。
早速、社頭へ出ると
宮司から刀が手渡された。
そして、剣の舞が始まった。この舞いで御頭神事が締めくくられる。
日本を振り、切り祓いが終わると刀は宮司に手渡され
もとの鞘へと納められた。
これで御頭神事は終了となり、御頭は元の位置、拝殿内本殿前の案へと戻された。
宮司、氏子総代、そして本日最も活躍された神楽師衆は社務所へと向かった。多分、これから直会となるのだろう。
ところで、宮司さんに見覚えがあるとずっと考えていたところ、思い出した。地元御薗神社の宮司さんだ。普段お会いする機会がないので失礼してしまった。御薗神社の御遷座 奉祝祭の写真を紐解いて確認した。
【参考】
最後に御頭神事の日程について、
御頭神事 日程調査のための神社巡り にて紹介したように以前は固定の式日だった御頭神事が今年から次のように日程変更されていた。
- 一月第二土曜、 世木神社
- 一月第二日曜、 箕曲中松神社
- 一月第二月曜(成人の日)、 茜社
(今後は多分このルールが維持されると思われるが、元日が日曜日の場合どうなるかは? まぁ事前確認は必要だ。)
その理由は伝統のある神事を守り続けたい思いとそれを継承する人々の生活環境に起因する。
「確か、箕曲中松原神社では以前は決まった日(1月16日)に御頭神事が執り行われていたのに今年はなぜ12日なのか?」と疑問に思った私は、獅子舞の舞手の方に尋ねてみた。
すると、代表者の方がその理由を説明してくれた。(正確な言葉をメモしていなかったので私の解釈で記述、もしかしたら勘違いがあるかも・・・)
- 箕曲中松原神社の御頭神事における獅子舞の舞手、笛、太鼓の奏者は同じ伊勢市内の村松町神楽師会から6名が応援にきている。
- 村松町神楽師会は箕曲中松原神社以外、世木神社および茜社の御頭神事も応援している。
- 会社勤めの会員は平日だと休暇をとらないといけない。
- 伝統行事(神事)を大切に守り続けることは重要、ただしすべてをそのままの形で維持することは難しい。実際には社会情勢、生活環境等の変化への配慮も必要だ。行事(神事)への思い(考え方、精神、目的・・)は忘れず、実施日や実施方法など時代の変化への柔軟な対応が必要になる。
そして今年は各神社に相談、お願いをして休日に実施していただくことにした。とのこと。その結果が、
- 1月12日 世木神社
- 1月13日 箕曲中松原神社
- 1月14日 茜社
となった。
やっぱり、御頭神事 日程調査のための神社巡り で紹介したように伊勢のゲストハウス風見荘 さんからの tweet で紹介されていた 獅子頭に頭を噛まれる写真(Ise Guesthouse Kazamiさん) の御頭は世木神社での御頭神事のものだった。
また、村松町神楽師会の地元である伊勢市村松町 宇気比神社での御頭神事は来月、2月9日に執り行われるそうだ。ぜひとも訪れてみたい。
改めて最後に、
各地域での御頭神事を始め伝統行事、神事に対する
地元住民の関心の高まりと参加を期す。
【 20130113 の記録 】
- 御頭神事 日程調査のための神社巡り
→ 御遷座された? 船江上社
→ 株式会社かねやすの看板 by 栗田看板舗 - 御頭神事(箕曲中松原神社)