2010年10月09日(土) 御塩焼固(みしおやきがため) (車、徒歩)
10月5日には御塩殿祭がとり行われ、9日まで御塩の焼固(やきがため)作業が行われている。神宮の祭典は平日のことが多いためなかなか見学することができない。今日は土曜日で仕事が休みだったので、御塩焼固作業の最終日に御塩殿を訪問した。
昨夜から強風が吹き、雨が降っていた。さすがにこの天候での自転車は無謀なので、車で出発した。御塩殿神社の近くには適当な駐車スペースがないため二見浦海水浴場の駐車場を利用し、そこから200~300mほど歩いた。近いものだ。
御塩殿神社の鳥居の前は変則的な交差点になっており、2本の道路が挟む空間に標柱がある。
鳥居の先には小さく殿が見えている。
鳥居をくぐりすぐ右手には手水石があり御鹽殿と彫られている。鹽の文字は塩と推測できるが、昔はこんな文字を使っていたのか。
参道をさらに進むと、
右手に御塩殿があり、その前に鳥居がある。
鳥居の前で軽く会釈し、斎庭へ入ると御塩殿の扉が開かれていた。
御塩殿に人の気配があったので、会釈してから左手にある御塩殿神社へ向かった。
御塩殿神社で参拝を済ませてから
御塩殿に戻ると、
御塩殿の中では焼固作業が始められていた。
すでに完成した堅塩がかまどの上に整然と並んでいる。
しばらく焼固作業を拝見していた。作業をされている喜多井紀忠さんに伺いたいことがあったのだが、作業中に声を掛けても良いものか迷っていたところ、子供連れの親子(母、子、孫の3世代か?)が現れ気軽な感じで御塩殿の中に声をかけた。
ほどなく、パンフレット(神宮の御塩:神宮広報シリーズ(三))を手にした喜多井さんが御塩殿の外へ出てこられた。この親子のおかげで私もパンフレットをいただけた。さらに、喜多井さんにお話を伺えた。(感謝)
先日見た朝日新聞の記事の写真が印象的だったので、あの写真では三角錐の土器に御塩を詰める作業を御塩殿の外でされていたが、今日のような雨の日はどうするのですかと質問した。通常は殿のなかで作業しているが、今回はこの写真のために特別に外で作業されたそうだ。薄暗い殿の中での作業はどんなだろうか?
またお話を伺っていて御塩が二度に渡り護送されるのにも驚いた。先週、奉織を見学した神御衣の場合は神嘗祭に先駆けて最終日にまとめて護送されるが、御塩の場合は、5~7日に完成した分は8日に、8~9日に完成した分は10日に護送されるとのことだ。そういえば2度に分ける理由を聞き忘れた。御塩はまず外宮に運ばれることと、今回作られた堅塩は今年の神嘗祭で利用されるところに何かあるのだろうか?
【参考】
御塩殿の右手には斎舎があり、
御塩殿の右手を通りすぎて裏側(海側)へ回ると、
御塩浜で作られた鹹水を貯蔵する御塩汲入所とその鹹水を荒塩にまで焚き上げる御塩焼所がある。
今日は珍しく、海岸側の扉が開かれていた。
閂(かんぬき)等が外され、扉は完全に開いていた。
この部分を見ると、柱と扉の合わせ目が陽に焼けずに新しい雰囲気を残している。
海へ目を転じれば大荒れである。二見浦の海岸は・・・
堅塩の利用場面を想像しながら御塩殿をあとにした。
喜多井さん、ありがとうございました。