2012年08月04日(土) はじめての神宮文庫 (車、徒歩)
神宮文庫の存在は以前から知っていて、その前を通ったことは何度もあったが中へ入ったことはなかった。
いまだ私のなかでは例の疑問が解決せず、モヤモヤしていた。
【例の疑問とは、】 朝熊御前神社等の御門の柱が接がれている理由?
可能性として考えているのは
(1)御用材のリユース説
別宮等から摂末社へ御用材がリユースされる。
(2)修繕説
御遷宮を迎えるまでに腐食し、修繕された。
(3)社格説
ランクなりを区別するために敢えて御造営時からこの状態にある。
で、その他にもあると思うが・・
まず、(1)御用材のリユース説については、前日神職の方と話していて「摂末社であっても新しい御用材を使用する」とのことだったので、却下。
(2)修繕説については、柱の下部が腐敗し修繕された可能性がある。それなら朝熊御前神社の御扉の丸柱も継ぎ目なく一本で建てられればその説は確認できるから、次回の式年遷宮で摂社が御造営される時に確認できる。ただし、二年以上先だろう。
(2)修繕説にしても(3)社格説にしても、設計時にはどの状態にあるのかが分かれば一歩踏み出すことができるだろう。
そこで、朝熊御前神社、御塩殿、八尋殿の設計図または各部の御用材のサイズが分かる資料を探すために神宮文庫を訪問した。
倭姫前交差点から「神宮文庫」の表札が掛かった黒門をくぐり、
石畳の急な坂を上ると、頂上手前左側の石段の先に・・・
神宮文庫が建っている。
通常の図書館とは異なり、本の借り方も独特であると聞いていたので不安を感じながらも中へ入った。
栞が置かれていたので、まずはこれをいただいた。
事務室の受付で初めての利用であることを告げると、利用方法を丁寧に説明してくれた。
手荷物は入口のロッカー(100円、解錠時に返却)へ入れて、閲覧室へ入る。
持ち込めるのは筆記用具と貴重品、なお携帯電話は持ち込みOKだった。
閉架式の図書館なので閲覧室には、机、椅子のほかは洋書専用の検索端末と和書専用の和書総目録(紙ベースの本)が置かれているのみ。
閲覧するためには、9:30から一時間単位でその時刻のみ閲覧受付が可能(途中には受け付けられない)となるので、あらかじめ必要事項を記入した図書閲覧申込書を提出する。
まず、和書の方は紙ベースの総目録なので慣れないと必要な資料にさえたどり着くことができない。今回は、9時30分には図書閲覧申込書に記入を済ませていたのだが、受付窓口には誰もいなかったのでずっと待っていたところ受付時刻を過ぎてしまい9時30分には受付てもらえなかった。
結局、10時30分に図書閲覧申込書を提出し、閲覧することができた。
ただし、借りた資料には今回目的とする情報は掲載されてはいなかった。
ちなみに今回借りた資料は次の二冊。
- 別宮 摂社 末社検尺図
- 天保九年御塩殿御造営削立目録
「別宮 摂社 末社検尺図」はいくつかの別宮 摂社 末社の宮域、社域の平面図で境界杭の位置と杭間距離を明示したものだった。今回とは別件だが、この中に津布良神社の検尺図があり、社域内に積良村産神 八柱神の祠が示されてた。
そういえば、津布良神社の社叢へ向かう坂道の下に注連縄が掛けられた石碑のような石があり、社叢の回りには小さな祠がある。次回は、 「積良村産神 八柱神」のことを頭に入れて巡ってみよう。
また、「天保九年御塩殿御造営削立目録」は御塩殿について御造営のための御用材の調達についての資料だが、これを見ると現在の御塩殿とは規模などが異なるようだった。
猿頭御門、御神楽所拝殿、東西御宝殿、大宮御瑞籬、一ノ鳥居、二ノ鳥居、三ノ鳥居、裏ノ鳥居、・・・
結局、必要な情報を手に入れることはできなかったが、神宮文庫の利用方法が分かったことは重要だ。
また帰宅後に、Google Books で「神宮文庫所蔵 和書総目録」と検索すると著作権が切れた「和書総目録」が掲載されており、文字検索できることを発見。調べたい資料のほとんどは大正以前のものだから、図書館等で紙ベースで探すよリも楽そうだ。ただし、表示できないページもあるかもしれない。
今日のところはこの二冊で11時半となったので、神宮文庫を後にして石畳を下り、黒門をくぐった。
その前に、パチリ。