2011年12月04日(日) 「おわけ祭」(高向大社 祷屋宅) (徒歩)
伊勢市高向(たかぶく)地区では、神様の御分霊を自宅前にお迎えし一年中お祭りする祷屋(とうや)の制度が維持されており、「おわけ祭」は祷屋が自宅の玄関先に御分霊をお迎えする神事である。
高向大社では重要無形文化財に登録されている御頭神事(おかしらじんじ)が有名だが、「おわけ祭」とは御頭神事を含めた高向大社の一連の神事だそうだ。
【参考】
本日、「おわけ祭」直前の高向大社 にて高向大社の鳥居前に集合すると、案内人の北村さんが、「おわけ祭」が斎行される祷屋さん宅へ案内してくれた。
こちらのお宅だ。庭先には手水が準備され、
玄関の前には「おわけ」が準備されていた。「おわけ」とは神様の御分霊をお迎えするために設置された囲いで、軒先に立てた4本の青竹の周囲に菰が巻かれ、割り竹で押さえられ、藁縄にてしっかりと固定されている。
また、居室では、今回「おわけ」を設置した祷屋さんと高向大社の宮司および昨年の祷屋さんが待機していた。窓側にはお祓い用の笹、御分霊の依代となる御幣(三種類、四本)と神饌が並べられていた。
しばらくすると玄関の引き戸が開けられ
先ほど居室に待機していた宮司、祷屋衆ほかが庭先へ出て、「おわけ」の前に茣蓙を敷くと
全員が手水にて心身を清めた。
祭員が「おわけ」前に整列すると
宮司は、先ほどの居室に向かい、笹を手にした。
その笹にお清めの水を受け(? 多分)、修祓が開始された。
最初に御幣および御饌をお祓いすると
続いて、「おわけ」をお祓いし、
さらには祷屋宅の玄関に向かってお祓いし、
最後には整列している祭員をお祓いした。
修祓が終了すると、居室から手渡しにて
宮司まで御幣が運ばれると
宮司は入念に「おわけ」の中に
取り付けられた。
残りの二本も同様にじっくりと時間をかけて・・
さらには御幣に続き、御饌が供せられた。
こちらは、お米の上にみかん、みかんは野菜を代表しているとのこと。
献饌の儀が終了すると、祝詞が奏上された。祝詞奏上が終了した時点で御分霊が「おわけ」の中に入られるそうだ。
宮司に続き、祭員全員が「おわけ」にお参りした。
すべての祭員のお参りが終了すると
撤饌の儀となった。
すべての神饌が下げられると、「おわけ」の入口に藁の幕が下ろされた。
この状態では容易に幕を上げられるため、
上向きに外されている割り竹を元の位置(水平)に戻して
「おわけ」の入口をしっかりと閉じる作業が進められた。入念に進められ、想ったよりも時間がかかった。
入口がしっかりと完全に閉じられると、「おわけ祭」が終了した。
これが御分霊が御座す「おわけ」で2月の御頭神事まで維持される。
ただし、この「おわけ」は御頭神事の打祭りにてツムギ祭場で燃やされる。このことからも「おわけ祭」と「御頭神事」が連動していることが分かる。燃やされる理由としては、この時期になると「おわけ」は悪魔に占領されている、このまま残っていると来年の祷屋が困る。などさまざま考えられるとのこと。
【参考】 御頭神事(高向大社)- 打祭り
私も御分霊にお参りしてパチリ。
今回、中日新聞と毎日新聞の記者が取材に来ていて、間違った情報を流さないよう北村さんに何度も何度も同じ質問をしていたのが印象的だった。
【 20111204 「おわけ祭」の記録 】
- 「おわけ祭」直前の高向大社
- 「おわけ祭」(高向大社 祷屋宅)