2011年05月02日(月) 一色能面展(一色町公民館) (車、徒歩)
伊勢志摩きらり千選のイベントカレンダーに一色能、能面公開(日時は 5/2~5/4の10:00〜17:00、場所は一色町公民館、展示物は県有形文化財40点)が紹介されていた。
地元で継承されている能(一色能、通能)を見学したいと思っていたが、他のスケジュールと重なり今年は実現しなかった。能面だけでも拝見したいと思い、一色町公民館を訪問した。
今日は車で一色大橋を越えて、一色町へと向かった。
一色大橋が見えるこの場所から
公民館への案内があるので、この路地を入ろうとすると
「一色能面展」の案内板があった。
誘われるように進むと、ほどなく一色公民館へたどり着いた。
左側の建物の庇の下に「能面」の札が下がっていたので、そちらの入り口へ向かうと
受付があり、署名すると次の案内が手渡された。
これによると、長年の保管で能面に傷みが見られたが、助成金を利用して2年間の後に修復が完了した。これを機に一色町が所有する80面あまりの中から三重県有形文化財に指定されている41面(江戸時代のものを中心に室町、桃山時代のものを含む)を公開展示する。ことになったそうだ。
会場へ足を踏み入れると、2列の衝立の両面、計4面にずらりと能面が展示されていた。手前の衝立の入り口側を(一)、その裏側を(二)、さらに奥の衝立の入り口側を(三)、その裏側最奥を(四)とすると
入り口からもっとも遠い場所(四)は、こちら。
その裏(三)がこちら。
さらに、その向かい(二)がこちら。
そして、一番入り口に近い(一)がこちら。
しばらく拝見していて11時頃になると能面についての解説が始められ、展示されている能面の概要が順次紹介された。なかでもこの能面は一般公開するには貴重過ぎるものだそうだが、今回は折角の機会だからと複製だけではなく、本物も展示されていた。(ありがたい)
こちらが本物。
複製品では唇の下にも髭があるのでこれは識別できる。敢えて区別し易くしてあるのだろうか?
そのほか、よく「悲しみを表現するためには面を下向ける」と言われるが、ただ単純に下を向く動作と区別するためには能面を付けた能楽師が自己の内面を身体等を使って如何に表現できるかにかかっている。と説明され、その後で実際に演じて見せてくれた。確かに手の動きや背中の丸まり具合など、ただ単純に下を向く動作ではなく「悲しみの動作」をうまく表現できるのは役者の技量にかかっているのだろう。
続いて、能面を体験するということで数名が実際に能面を付けてもらっていた。目の穴はこんなに小さく視界は非常に悪そうだ。
特に、能面は顎に合わせて付けるため、実際の視界は能面と個人の顔の形状に依存して異なり能面を付けて舞うのはさらに大変になる。
ところが、説明者いわく「73年間舞っていたら、顔の形が能面に合ってしまった。」と。
その後は、一色能に関するビデオが上映された。この中で 一色神社 の存在を知ったため、あとで参拝した。
【参考】 一色神社
【能面の紹介(一部)】
ここでは気になった能面を紹介。
これが本物で、
こちらが複製品だ。形状はもちろんのこと、擦れ具合など細部に至るまで再現されている。私には本物と偽者の区別がつかない。
こちらは、禅家に仕える半僧半俗の若者の面だそうだ。見たことのない表情の面なのでパチリ。よく見ると額に凹みがある。
ここからは区別が大変なもの。比較すれば何とか分かるだろうが、一面を手にしてもこれが何なのかを示すのは難しそうだ。髪の毛、目、口の表情の違いを如何に見分けられるか。また、眉や形状も・・・ でも難しい。
この後、小面が続くが、役者のその時の気分等で使い分けるそうなので、役者の方がすべての相違と持ち味をすべて理解しているのだろう。私には △!☆?◇★△ だ。
そして、こちらは私が最も気に入った能面だ。正面。
左横。
左下方から。どこから見ても胡散臭さがにじみ出ている感じがした。
天狗大べしみの列の左端には見慣れた般若があり、
その二つ隣には、般若になり始めた生成。初期段階で成りきれていないため角は短いし、顔の表情も中途半端だ。この中途半端さがおもしろい。
【番外】
ところで、これは番外編。これは今回の展示とはまったく関係なく普段から掛けられている写真だと思うが、一色の渡しの写真だったので、パチリ。
先日、続・神社港歴史散策 でこの渡しがあったことを知ったが、こんな写真があったので感動して思わずパチリ。一色大橋ができるまでは大変な苦労があったことが一目瞭然だ。素晴らしい写真だ。
【20110502の記録】
- 一色能面展(一色町公民館)
- 一色神社