2012年12月01日(土) 御酒殿祭(2012年12月) (車、徒歩)
伊勢神宮では、6月と12月の月次祭および神嘗祭(10月)の三節祭に際し、由貴大御饌の儀に供される御料酒がうるわしく醸造されるようお祈りするとともに全国酒造業の繁栄をお祈りする祭典、御酒殿が斎行される。
来る十二月月次祭では内宮における「由貴夕大御饌の儀」を奉拝する予定なので、御酒殿祭も拝観しようと思い内宮へ向かった。
宇治橋を渡り参道を進むと、火除橋の手前左側には三重県産清酒奉納の菰樽が並べられている。
この右側にある「三重県産清酒奉納」立札には三重県知事 鈴木英敬 謹書とある。鈴木知事の直筆、お世辞にも達筆とは言えないが、全体から鈴木さんの実直さが感じられるいい文字だ。私の中ではまたポイントアップ。
そんなことを感じつつ、手水舎で心身を清め、御手洗場近くの瀧祭神にお参りしてから参道を進んだ。
まずは修祓が執り行われる忌火屋殿の前庭を確認した。
祓所となる前庭には御饌が納められた辛櫃、および修祓に使用される大麻と御塩がすでに準備されていた。
また、実際に御酒殿祭が斎行される御酒殿(神楽殿の右隣に建つ五丈殿の裏手にある左側の建物)を確認すると
案が並べられ、参列者のための椅子も準備されていた。
9時50分頃、神宮衛士の先導により、神職4名、参列者4名が参進。
忌火屋殿の前庭へ向かった。
全員が定位置に着くと祓詞の後、
神饌、
神職、
参列者が大麻と御塩によるお祓いを受けた。
修祓が終了すると祭場は御酒殿の前へと移された。
御饌が納められた辛櫃は
御酒殿の左角へ配置された。
参列者も着座。
続いて、御酒殿の御扉にかけられた御錠(みじょう)を解くための御鑰(みかぎ)が準備され
【参考】
カギの名称については、書籍「神社祭式同行事作法解説(神社本庁編)」および次のサイトによる。
- カギにまつわるエトセトラ(~新川の社務所から~)
その御鑰は祭儀を斎行する神職に手渡された。(御酒殿祭に携わる神職の役職名が不明だったのでこのような表現)
御鑰を手にした神職が御扉に近づき
御錠が解かれると
御扉が開けられた。
そして、献饌。
辛櫃から神饌が納められた折櫃が取り出され、案の近くまで運ばれた。
神饌は折櫃から案へと並べられた。
報道陣以外の一般者は参道からの拝観となるため、御酒殿の周囲はもちろん五丈殿の周囲には人はいないはずだ。ただ、荒祭宮から続く参道からは参拝客が戻ってくるため、御酒殿の右手に建つ由貴御倉の脇で停止する参拝客。移動を促す神宮衛士は大変だ。(祭典の支障にならないように、参拝者の気分を損ねないように・・・)
続いて祝詞が奏上されると
玉串奉奠、
そして、八度拝、八開手。
その後、参列者の代表による玉串奉奠。
参拝者が普通に行き来するなか祭典は続いた。
玉串奉奠が終了すると撤饌、供されていた神饌が下げられた。
これで祭典も終了だろうと思ったところ、御扉から円筒(と思われる)形の器が運び出され、
御酒殿の右側に配置されていた小ぶりの辛櫃へと納められた。
最後に御扉が閉じられ、
御錠がかけられると御酒殿祭は終了した。
御酒殿の右側に置かれた小ぶりの辛櫃が担ぎ上げられると
先に修祓が執り行われた忌火屋殿前庭の方へと進み
最終的には忌火屋殿の中へ運び込まれた。
一方、神職は退下となった。
最後に、参列者は御正宮への参道を・・・(この流れ解散的な感覚がとてもいい!)
修祓が執り行われた忌火屋殿の前庭は日常を取り戻し、
御酒殿では片付けが進められていた。
御正宮での祭典以外は、特別なことが特別でない場所(普段は誰でもが立ち入れる場所)で執り行われ、誰でもが拝観できる。なんて素晴らしいことだろう。
【 2012年12月01日の記録】
- 御酒殿祭(2012年12月)
- 第62回神宮式年遷宮に向けて(内宮)
- 伊勢の紅葉(内宮および周辺)